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Yakov

2016年07月29日

再録26・民警1

 私にとって手を付け出すときりがない「鬼門」のひとつ、民警である。なにしろ恐ろしく頻繁に制服が改定される上に1919年から現代までが対象とあっては「時系列に沿って紹介」などする気になれない。とりあえず思いつくまま、不定期掲載ということで。



1943年式の"китель"。何しろ導入が戦時下なので制服のみ野戦用カーキ(記章は通常用)という組み合わせも存在した。軍の制服改定と同時期に導入された肩章は(将校用の場合)一見すると内務人民委員部НКВДの管理官・医療科が使用していたものと類似しているが(ともに幅が狭い銀地肩章使用)銀地の織パターンや形状が微妙に異なり、それなりのコレクターでも誤魔化して流用するほど入手困難。さらに佐官用の金星はこの幅の肩章のみに使われる寸法で、一定数を揃えるのは至難の業である。紺色のギムナスチョルカタイプも存在するがそれは回を改めて。



1947年導入の常勤制服。モスクワ800年記念式典を機に改訂されただけあって(モスクワなど)主要都市では迅速に置き換わったが、地方都市では(モスクワの郊外でさえ!)58年の大幅改定ぎりぎりまで旧制服が混用されていたという。帝政時代にコサックが治安維持に使用されていた名残だろうか、ドンコサックの制服を思わせるデザインである。通常は細い赤側線の入ったズボンを使用するが、騎馬警官の一部はドンコサック風(太赤線)ロンパスの入った乗馬ズボンも使用していた。
(追補)ソ連末期まで引き継がれた民警のパレード装備:"шашка"コサックサーベル及び肩掛け式の剣吊も明らかにこの影響を受けている。
ギムナスチョルカやダブルブレスト詰襟の礼服もあるがこれもまた稿を改める。



制帽は1943年式のバンドが青(書類上は緑がかったトルコブルーなのだが水色にしか見えないものも多い)、1947年式は赤である。帽章がまた特殊で43年式は上・中級勤務員と下級勤務員のデザインは同様だが(材質のみやや異なる。また高級勤務員は将軍用に似た円形)、47年式では国家章の縁取りが両者でまったく異なる。ちなみに下が上・中級勤務員用。初期は2ピースで出来ていた帽章も後年一体式に置き換わって行った。画面下に見える飾り紐は高級指揮官の使用する制帽用織紐だが、軍と違い銀製である。
*43年式制帽について制帽のバンド、縁取りともに青、という資料があるが(当時の指令書を読み違えた)間違いとのこと。モスフィルム作品(TVシリーズ)で1935年式空軍制帽を民警用に使用した例があるが、この間違いを踏襲したもの。現地マニアの一部から嘲笑されているらしい。
(2006/7/31)  

Posted by Yakov at 16:48Comments(0)

2016年07月29日

再録25・民間航空(戦前)

 ソビエト連邦の成立間もない時期、民間航空(何度か改名した)はまだ独自の制服を持たず、専用の帽章のみ軍・民間混用装備に取り付けただけのことだった。1932年になり、ようやく紺色の詰襟服及び同色の開襟ダブル、紺色の海軍式制帽が導入されるようになった。この頃の階級章は海軍に類似した(金線縫い付け式)袖章であり、全12階級が存在した。
*ちなみに制服組の最高階級はマキシム・ゴーリキー号の機長である。



1936年に導入された襟章を付けた冬服で、実は戦前の海軍制服をベースにした改造品。ボタンを取り替えて襟章をつけただけだが、規格はそもそも同一なので問題ない。襟章は真ん中の金線の太さで上、中、下級を区別、ウィング付きのプロペラ型エンブレム(1~4個)で階級を示す。



オリジナルの夏服で海軍風だがポケットにボタン付きのフラップが付くのが特徴。腕に旧型階級章のついていた跡があるので間違いなかろう。ただしこの頃のシステムがまだ不明確なので36年式襟章を移植した。



制帽は紺色の「海軍式」裁断の制帽とともに写真のような空軍1939年式制帽と同じものも広く使われた。帽章は円形部分の土台がブルーの布敷きになっているが七宝製のものも後年登場する。
(2006/7/30)
  

Posted by Yakov at 16:43Comments(0)

2016年07月29日

再録24・鉄道局2

 前回の舌の根も乾かぬうちにまた鉄道員である。今回はちょっと古い時期の奴を少々。



1932年制定の鉄道制服である。この頃は襟章の縁取りが職種を示しており、少々単純化して言うと管理部門がラズベリー、機関・運行が青、通信が黄色、保線等が緑、といった具合だ。ちなみにこの服は60年代の武装警備員服を改造したコスプレ用なのだが襟の七宝階級章(六角形:中級勤務員。V字型の下級、赤星の上級も存在)、黒塗装専用ボタン、帽章等の実物を入手するだけで相当の時間を費やした。いずれは完品を手に入れたいものだ…。まあ戦時型と称して適当な(当時の)カーキ衣服に記章をつけるという逃げ道もあるわけだが。



1943年制定の冬服。軍隊の制服改変と機を一にした変更だが肩章の銀糸織りパターンが帝政期の役人服に似た特別なものでなかなか入手に苦労する。ちなみに肩章のエンブレムが職種を表し、写真のものは信号手である。夏用は淡い茶色で上下・制帽が揃えられるのであるがこれもまた今のところ見果てぬ夢、である。



比較的入手しやすい1955年装備。襟章の縁取りで職種を示すシステムが復活した。中級士官以上は軍の肩章に似たシステムの銀刺繍または組みひも+星章で階級を表す。例示したのは最下級の勤務員。



制帽、左列が1943年式で、一般用と駅長および補佐の赤制帽である。右列上が1932年式管理部門制帽で鍔は布製である。これは(友人が所有する)当時の規定に基づき製作されたレプリカだが(帽章は実物)。その下にあるのが1955年式(63年式の改造だが)の保線科制帽。
(2006/7/30)
  

Posted by Yakov at 16:39Comments(0)

2016年07月29日

再録23・鉄道員1

 手を付け出すときりがなく、コサックの次に恐れていたジャンルがこの鉄道員だった。だが始めないことには仕方がないので、とりあえずごく最近の装備だけでも触れておこうと思う。続編はしばらく間が空くと思うが…。



最初は1979年に階級章がマイナーチェンジされたソビエト鉄道省の制服である。中級勤務員の制服だがかなり年季の入ったよれよれのものである。襟の角度と襟章の台座の角度が上手く合わないが、両者の生産時期の違いもあるのかもしれない。台座は軍用とはまったく異なった造りで(階級のランクを示す)横棒(単に真鍮の柱にしか見えない)を通す穴が設けられている。



ロシア鉄道が発足した後の94年の夏用制服。記章は警備要員である。鉄道警備員はソビエト時代から続く独自組織で、モスクワの鉄道局を警備しているのも同組織である。



3シーズン用の制服。ダブルの背広型も存在するが略服を見る機会のほうが圧倒的だ。



制帽・略帽だが、79年式の制帽も廃止されたわけではないが高級勤務員以外は大抵ケピタイプを使用している。ただし女性はピロトカのみ使用。72年式の運転員制帽も混じっているが、これも容量節約のため一緒に撮影したためである。また婦人帽も写っているが、女性用装備は基本的に稿を改めて説明するのでご容赦されたい。
(2006/7/29)
  

Posted by Yakov at 16:33Comments(0)

2016年07月29日

再録22・民間航空戦後

 今回はアエロフロートの男性用制服について。



70年代の「民間航空局」上級勤務員制服。機長クラスで胸には名札が付く(画像略)。地上勤務員(管制など)もほぼ同じ制服だが襟に職種を示すエンブレムが付くことで区別できる。女性用地上勤務員制服は合わせが逆になるだけでなくよりゆったりとした造りで上2つのボタンは装飾のみ。
衣服のボタンは基本的に羽付きプロペラの伝統的なデザインだが、一部軍用ボタンを使用している場合もある。
コートは隠しボタンのサマーコートとダブルで金ボタン6個止めのコートがあるが、(引っ張り出すのが面倒なので)画像省略。
ちなみに高級勤務員(大佐相当以上)は将官用ボタン8個止めで肩章は金線が金刺繍となる。さらに少将相当以上は襟に月桂樹刺繍が加わる。



95年制定の「ロシア国際航空」の制服。これはパーサー用で袖章(金線)がないが、パイロットは黒の台布に金線を縫いこんだものを縫い付けるシステム。
この頃になると各地域の民間路線が別会社に分割され、総路線キロ数はかなり減ってきている。
ちなみに2005年から制定されたパーサー新制服は剣襟シングルの「洒落たスーツ」風へと路線変更されている。



制帽。ソ連時代、鍔のオーナメントの有無は階級によるものだったが、95年式では職種による(パイロットのみ付く)。
戦前の制服もコレクションしているのだが、それはまた日を改めて。
(2006/7/28)  

Posted by Yakov at 16:28Comments(0)

2016年07月29日

再録21・特別栄誉部隊

 税金警察の続きはしばらく後に回し、特別栄誉部隊、すなわち儀杖兵の70年代から現代の兵用制服を紹介する。



70年代・地上部隊の特別儀杖兵(РПК)の兵用制服は大佐以上の制服に使用される純毛生地で作られている。裁断は兵用と同じ、アクセルバントも兵用の銀色のものを使い、ベルトは白色。肩には金属のCA(ソ連陸軍)マークが入るが、この服は92年以降に使用された移行期のもののため記章の付いた跡もない。ワッペンは絹糸による刺繍。また、画像は省略したが冬季には将校用と同裁断のコートを着用。肩章・袖章のみ専用となる。
ちなみに将校用は同様の生地だが緑青色、ワッペンにも金刺繍の縁取りがつく。また分隊長は右胸に胸章がつく。



同じく海軍用。解像度が低くて恐縮だが手前の服が特別栄誉部隊専用で肩章のФは金刺繍。奥は一般部隊で使用される儀杖服で兵科章も異なる。裾に白いゴムが見えるが、そこに白のパレードベルトを通す。陸軍同様、銀のアクセルバントを使用。



現在(2006)使用されているロシア地上軍の特別栄誉部隊制服。三色旗の軍用袖章にも金糸の縁取りが入り、ロシア規格の胸章は左胸に付く。またアクセルバントは兵・士官ともに金色の将官用(ペンシルが2本)のものを使用、ベルトも金糸製になる。



最後はロシア及びソ連の制帽とサッシュ。サッシュは赤が陸軍、青が海軍用。旗手用(旗竿差が付いたもの)とサーベル手用がある。海軍用水兵帽は材質のみ異なり、形状は一般用と同じ。

空軍用は兵・士官用共に暗青色で特徴は陸軍用に準ずる。
(2006/7/26)
  

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2016年07月29日

再録20・税金警察1

 今回は現代ロシア独自の組織、税金警察の制服について紹介したい。
もちろんこの組織は通常の徴税を行なう税務局とは別組織であり(現在は解体・改組中)、現首相のフラトコフ氏がかつて長官を勤めていた組織としても知られている。
税金未払い者に対する強制力をもった準警察機構なのだが、対象とする相手が主に「マフィア」に類する連中なのでその任務は危険極まりない。銃器で重武装しての強行突入もたびたびで、活動内容だけ見るとОМОН(民警特殊部隊)とどう違うのか判らないくらいだ。ちなみに服装規定によると戦闘装備はニットのフェイスマスクがデフォルト装備で、素顔を知られたときの危険性は潜入捜査員並であるとわかる。その「汚れ仕事」系衣服は次回に回し、今回はオフィス用の制服を紹介する。



将官相当の高級勤務員制服。組織改変に伴い(おそらく制服も変更されるので)予約が取り消されたものであろうか。タグも取っていないまったくの新品である。



中・上級勤務員の制服。組織改変後、某博物館の売店で売られていた(廃止された制服のため違法性はない、ということだろう)無記章の制服をもとに組み上げたもの。ソフトスーツのようにダボっとしたデザインは正直あまり格好のよいものではないが、内側にホルスターを隠すにはよいデザインかも知れない。



常勤のブルゾン型略服は、軍用のものとはかなり異なる裁断。法務局(廷吏など)など軍そのままのタイプを使用する官庁と独自のものを採用したがる官庁とがあるが、長官クラスの趣味で決まっているのではないかと思うくらい見事にバラバラである。

この中に着るYシャツだが、白はともかく「サラダ色」と称される淡緑色のものは裁断といい色といいかなり独特でマニア泣かせこの上ない。さらにネクタイも他の官庁とはまったく異なるブルーグレーである。



中・上級勤務員用と高級勤務員用の制帽を示すが、中・上級用の帽章の縁取りは常勤用の場合は除かれる。
(2006/7/26)
  

Posted by Yakov at 16:16Comments(0)

2016年07月29日

再録19・検事局

 スターリン時代の1943年に検事局の制服(肩章式)が導入され、スターリンの死後行なわれた大規模な制度改革まで使用された。今回は1954年から現在までの検事局の制服を紹介する。



戦後の長い期間、この組織でも税関吏と同様、階級章として襟章が使用されていた。戦前から受け継がれた「盾と交差した剣」の紋章は下級勤務員から長官に至るまで襟章に使用されてきた。ボタンはすべての階級で国家章があしらわれたもので、特に54年以降は軍の将官用を流用する場合が殆どである。
下級法務官においてはシングルブレストのものが存在する。



1990年には軍タイプに準ずる肩章が導入され、襟には法科エンブレムのみが残された。この改定は殆ど記章のみのため、旧制服に急遽肩章を縫い付けた移行期タイプもよく見かけた。



現用の将官クラス夏服だが、1996年以前の旧タイプでは袖に折り返しが付いていた。階級によってさらにパイピングを加えた白服もある。
白ズボンを使用する場合と側線・ロンパスの入った紺ズボンを合わせる場合があるが、検事局長の場合(元帥級)ロンパスが赤になるなどきわめて煩雑。ロシア時代の高級検事局員制帽は他の官庁(独自のデザインが多い)と異なりロシア軍に準ずる記章がつくのも特徴である。



写真は現用中ー上級職の制帽(下)と1943年式制帽(上)である。43年式装備については後日、同時代の官庁服とともに紹介する。
(2006/7/25)  

Posted by Yakov at 16:11Comments(0)

2016年07月29日

再録18・戦後の公務員制服・石炭生産省

 またしても己の趣味で暴走した感が強いが、今回はいわゆる炭鉱夫関連である。ヨーロッパにおいて石炭の採掘は戦略物資の代表的なもので、この関連業務は一種の産業エリートとして優遇されてきた。独・伊等の収集家の方であれば、一度くらいはそれぞれの「炭鉱夫礼服」というものを目にする機会があったと思う。とりあえず今回は1947年改訂のスターリンによる服制改革の時期について紹介する。
*ちなみに同時期の検事局、国家品質管理局、大蔵省などについても後日触れる予定。



栄誉採掘員の礼服である。コートのように見えるがハーフコート丈で前合わせはフックによるもの。ロシアの兵用外套と同様、ボタンは単なる装飾用である。これに省のエンブレムが入った革ベルトを締め、後述する制帽と青パイピングのズボンとと合わせる。



中級管理官(技師)の常勤服。帝政期にきわめて類似した襟章がついているがエンブレムと星の配置がなかなか込み入ったシステムで説明が難しい。ロシアの関連サイトを参照されたい。襟の星は当時の軍隊で使用していたタイプと彫刻が少ないシンプルなものとがみられる。



制帽(上級管理員用)と佐官級の階級章(襟の星を欠く)。これらに類似する機構に坑内救護隊などがあり記章類が微妙に異なるが、それらはまた稿を改めて。

余談だが元の制服のボタンが不揃いで(一部国家地質調査局のボタンが混じっていた)ためすべて純正品を揃えるまで3~4年かかってしまった。説明しなければ見落としてしまう程度の違いなのだが…。この手のボタンを単品で探すと恐ろしく苦労する上に価格的にも非常につらい。
(2006/7/24)  

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2016年07月29日

再録17・スポーツ用品

 いきなりの方針変更?と思われたろうか。そうそう人間は変われるものではない。今回は軍隊におけるスポーツものを取り上げる。
ソビエト時代から軍スポーツクラブ「ЦСКА」(日本ではCSKAと翻字されることが多いが)という強力なスポーツチームがあり、警察・治安機関の勤務員からなる「ДИНАМО」とともにアイスホッケーやサッカーにおいては世界的に名を知られている。
だが、ここではそれらのユニフォームを紹介するわけではない。それらは公式には軍人の余暇・福利厚生分野と位置づけられているからだ(あくまで公式に、だが)。



このサンボ用道着は色を見ても判るとおり訓練の一環として「公務時間内に」使用されているもの。



写真でサンボ靴の下に写っているのが通常の「国家スポーツ委員会仕様」サンボ服である。ズボンは通常のトランクスを使用。



実を言うと確証の持てないものである。スタンプの規格からして50年代くらいの軍用訓練服は間違いないのだが、フェンシング用か銃剣術か、はたまた犬の訓練用か…。個人的にはフェンシング説を採りたいところだが。ちなみに写真は背面だが、表から見てもなんら判断の基準となるものはなかった。



参考までに国家スポーツ委員会公認(とタグに書いてある)ソ連時代のフェンシング装備一式を示す。個人的にはフェンシングなどやったこともないし、第一保護マスクのサイズからして合わないのだがつい購入してしまうのがマニアの悲しい性である。
その他スポーツとしてのパラシュート訓練、モータースポーツなどネタは多少持っているのだが(2)の記事は少し先のことになるだろう。
(2006/7/23)
  

Posted by Yakov at 16:02Comments(0)

2016年07月29日

再録16・民間商船隊3



さて、1977年になると新いタイプの制服が登場する。これはシングルブレストのサファリジャケット型の略式勤務服で紺色、通常の黒ズボンと組み合わせる。略服なので略綬やバッジ類は着用しない…と永らく考えていたのだが最近船員学校の卒業章や優秀勤務章をつけた事例を発見。もちろん引退した船員が適当な制服に持っている記章すべてをぶち込んで外出することもあるので即断は禁物だが。いずれにしても記章着用規定を入手できていないので未だ断言できない。



続いて同裁断、ベージュ色の夏服である。同色のズボンと組み合わせ、黒ズボンとは決して合わせない。写真のものは上級船員がアテリエにオーダーしたもので通常(チノパン様)より上質の生地を使用している。ちなみに白色同裁断もあるらしいが(未入手)これは黒ズボンと合わせる。そのほか軍用に類似した「スローチカ」タイプ(ジャンパー・シャツとでも意訳できようか)のシャツを使用する場合もある。



最後は下級船員用の夏服だが、この下にシャツとネクタイを使用、ズボンにはたくし込まず上着として着用。写真は河川艦艇の上級下士官で、これより低い職制では肩章をつけない。
河川艦隊の肩章はご覧の通り上端の金線中央が三角形に飛び出した特異なスタイルで、四角く折り返された海洋艦隊用と容易に区別できる。

ちなみに海洋艦隊と類似した肩章・帽章をつけて海軍式のジャンパー式略服を着た船員の写真を見かけることがあるが、彼らは海軍所属の「支援艦隊」と呼ばれるまったくの別組織である。海軍と行動を共にする(無線探知装置をつけた)偽装トロリー船や気象観測船などは大抵そこの所属。

補足:当然ながら黒(夏期は白もあり)のリーファージャケットも使用されている。裁断は再び海軍用に準ずる6ボタン(高級勤務員は8ボタン)になり、記念章やら略綬やらで飾り付けられるのはこのタイプである。
(2006/7/22)
  

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2016年07月29日

再録15・民間商船隊2

 前回紹介した(戦後すぐの)河川艦隊はかなり特異な肩章を使用していたが、海洋船舶隊については1949年に新規定の階級章が制定されたとはいえ基本的に戦前のシステムを踏襲しており、制服自体も(肩章を外した)海軍の制服と殆ど変わらないものであった。
だがこれが1964年になると、民間商船独自の趣が感じられてくる。



写真のダブルブレスト制服は当時の背広の流行だろうか、かなりゆったりとした裁断となっている。ちなみにこの服には中級・上級勤務員用のボタン(ドイツ海軍用を思わせる)がついているが、下級勤務員の(ソ連海軍式)ボタンを使用している中級勤務員もよく見られる。



次のジャンパータイプも1964年採用の略服で、海軍用とは明らかに裁断が異なる。小判型の肩章もこの頃の特徴といえる。



写真容量の関係で次回紹介する69年、77年式制服用と一緒にまとめて制帽の写真を掲載しておく。左列下から海洋船舶上級士官用、夏用上級士官用、革製の中級士官用。船長クラスは細部に凝った(イレギュラーな)特注品を好むため収集を始めると本当にきりがない。右列は下から河川艦隊中級、河川艦隊夏用上級、同高級管理官の制帽となる。
(206/7/22)  

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2016年07月29日

再録14・民間商船隊

 現代もので疲れたから箸休め、とか言っておきながらなんであるが、次の更新はまたソ連ものである。
ソ連の民間商船隊は海洋艦隊と河川艦隊で微妙に異なる記章類を使用している。もちろん年代によって異なるわけで、今回はとりあえず戦前~戦後40年代半ばの制服制帽を紹介する。



最初の図版は左から北洋航路(СМП)、海洋艦隊、河川艦隊(その手前は当時の金属帽章)の各制帽である。海洋艦隊の帽章は国旗部分も刺繍だが、これが金属製のバリエーションも多い。



次は戦前の北洋航路の上級勤務員制服で袖章の四角い折り返しの上に機関の紋章がついている。これが海洋艦隊・河川艦隊では赤い三角旗のバッジまたは刺繍が付く。河川艦隊の折り返しは形状が少々異なり、波型となる。



最後は49年ごろの河川艦隊上級勤務員制服。船舶乗員は袖に戦前に類似した金線階級章が付くが、この例は港湾乗り入れの鉄道部勤務のため袖章はない。鉄道部、警備部、船舶、技術、管理といった部局は肩章に付いた金属性エンブレムで識別できる。なお、同時期の海洋艦隊は戦前同様の金線階級章を付けていた。
(2006/7/21)
  

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2016年07月29日

再録13・箸休め、あるいはカフカスの香り

 しばらく現代ものを続けていたせいか、堅苦しくもトリビアルな展開に少々疲れてしまった。いずれは手を付けたい(本格的にはじめると恐ろしいことになってしまうのだが)コサック編の前に、カフカス地方の民族グッズを紹介してお茶を濁しておく。



最初はカフカスの短剣(土産用の軽金属製。刃はへし折った)と銀細工のベルト類。楕円形のバックル二点は女性用で、短剣型の金具を外すと左右半分に分かれる構造。銀糸織りのベルトには銀製の金具でкавказъと言う文字が付いている。これはロシアの旧正字法(1918年以前)に則ったスペルで革命前のもの。ただこのベルトは偶然最後の文字ъが脱落してしまい、図らずも現代の文法上正しいスペルになった。
小判状の銀板を継ぎ合わせた婦人用ベルトは日本の骨董市で偶然発見したもので、現在のモスクワではありえないほどの安価で購入。
皮製のベルトは男性用で、一部古いコインが用いられているのが面白い。



次の衣装はチェルケスカと総称されるカフカスの民族衣装で、帝政ロシアダゲスタン人部隊の制服によく似ている。そんなわけでそれらしい肩章を付けて撮影したがもちろんこれは純正品ではない。
肩のケープはバシュリークと呼ばれ、冬季にマフラーや頭巾のように使用された。胸の装飾はガジェーリと呼ばれる弾帯をイメージした象徴的なもの。圧縮起毛フェルト製のブルカ、毛皮帽クバンカなどについては「コサック」編で解説する。まあ相当後のことになろうが。
(2006/7/20)  

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2016年07月29日

再録12・海軍歩兵戦後・補足

 何しろ行き当たりばったりで更新しているため、前回少々積み残しがあったことに気がついた。ソ連解体直後の事情も加え、再度海軍歩兵の回を続けることにする。



前回の積み残し、海軍歩兵兵下士官用ブーツである。規定で海軍歩兵用に「短縮型ブーツ」が制定されており、これは本皮および「кирза」と呼ばれる防水合皮で出来ている。写真は民生品だが通常軍用との(丈の)比較には充分なので掲示しておく。将校については通常型野戦ブーツの使用例も多く(基本的に自弁であるため)、必ずしもすべて短いブーツを着用しているわけでもない。
足元に見えるのは海軍歩兵専用の将校図嚢である。



次は95年ごろ私の知人が実際に着用していた迷彩服。1993-4年ごろから使用されている通称「スコフィールド迷彩」とは明らかに異なる。当然その後はまったく使用されておらず、実地試験用に使用されたものらしい。
モスクワの軍事博物館には英軍のDPM迷彩に類似した(配色は似ても似つかないが)海軍歩兵用迷彩服が展示してあったが、小編成で様々な任務が要求される海軍歩兵部隊は、新迷彩服トライアルの場として重宝されたと見える。



その次は袖に付ける部隊パッチ(黒海艦隊および太平洋艦隊)だが、現在よくみられるビニールプリントと異なり布に直接印刷されている。ロシア軍最初期のものだが、同様のデザイン(アンドレア十字を欠く)で白熊がシンボルマークの部隊章はすでにソビエト時代、1991年から存在している。現ロシアの部隊章はさすがに紹介するスペースがない。



前回省略するつもりだった88年規定の4つポケ迷彩も比較のため載せておく。
(2006/7/19)

  

Posted by Yakov at 14:34Comments(0)

2016年07月29日

再録11・海軍歩兵戦後

  海軍歩兵、といってもその第二次大戦までの歴史についてはすでにご存知の方も多いであろう。ここでは1963年以後の装備について簡単に触れておく。
 黒ベレーに縞シャツ、黒ずくめ、という特異なスタイルは、かつて「黒い死」と恐れられた戦時中のイメージを髣髴とさせる。80年ごろまで戦闘服として使われてきたこのスタイルも88年規定で"迷彩服に迷彩戦闘帽"に置き換えられ、その後の黒制服は一種のパレード装備としてのみ生き残っている(現ロシア軍においても裁断がやや異なる4つポケ黒服を使用)。



最初の画像は戦闘服として使用されていた時期の将校用で肩章は差し込み式、ボタンはまだ(プラ製でなく)黒染め金属のものが付いている。鮮やかな略綬やバッヂが付いているが、実際に偽装が必要な時には迷彩カバーオールを羽織れば済む事だ。ちなみに兵用も肩章は差し込み式で、綿製や起毛綿製の肩章も良く見られる。ズボンは将校用のみ前あわせボタン止めで、兵用は水兵ズボンと同様、両側面のボタンを外すと前部全体がめくれる構造となっている。



次は88年以降にパレード服として使用されたもので両袖に海軍歩兵用パッチが付き、特殊なパレード用のW革サスペンダーを使用する。パレードの場所・式の格式により水兵用付け襟とともに着用する場合があり、服の内側には襟を脱着するためのボタンがある。ちなみにベレー帽は初期の起毛綿製。



最後は例によってイメージ。海軍歩兵用の特殊装備として黒色背嚢、同スリング、黒色合皮ベルト・サスペンダーなどがあるが、通常軍仕様のカーキ色装備品類も多く、必ずしも全装備黒ずくめ、ということではない。茶色の合皮ベルトは1988年規定のもので、同規定の迷彩服・戦闘帽などの図版は省略する。
(2006/7/18)  

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2016年07月29日

再録10・ソ連海軍艦上装備4

 今回は兵下士官の作業服を中心に駆け足で進める。



兵下士官用の盛夏用綿服でショーツ、鍔付き略帽と組み合わせるもの。前回の将校用と裁断が異なるが、70年代までは将校用もこれとほぼ同じ裁断を使用していた(肩章ループが付く点のみ異なる)。
 名札だが兵下士官は3-12-21のような数字で所属を表す。最初の数字(または文字)は戦闘班、次の数字(1-3桁)はポスト番号、その次(2桁)は交代勤務の班分けだが、ここで細かく説明するのは非常に面倒なため(特にリクエストがない限り)省略する。



次は兵用作業服で、セーラーカラーをつけて着用。同裁断で分厚い白(生成り)キャンバス製の作業着も存在する。



戦前・戦中に使用されていた別裁断の画像を参考に掲示しておく。



 最後は例によってイメージ(ファイル容量節約のため)。
 兵下士官用の笛、艦内サンダル、救命胴衣、艦内放送用マイク、当番腕章を適当に配置した。ちなみに青地に白ラインの腕章は一般的な当直用、赤地に白ラインは見張り(ワッチ)要員専用となっている。
(2006/7/18)

  
タグ :再録

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2016年07月29日

再録9・ソ連海軍艦上装備3

 どうせ載せるなら変な服、ということでちょっと特殊な服を紹介したい。



最初の画像は単なる艦内作業服で、潜水艦の搭乗員服としてよく知られている。これはスカイブルーのものだが通常はダークブルー、なかには黒に近いものも存在する。民間で使用されている作業服とほぼ同じだが、私は4つボタン以外の海軍作業服を見たことがない。胸に四角で囲んだ「РБ」の文字が描かれている場合が多いが、写真のものは未使用品である。
胸の識別布の文字はБЧ-1(航法)指揮官。ステンシルによるもの、手書きなど様々なバリエーションがある。
БЧ(直訳すると戦闘班)は1が航法、2が砲術、3が雷撃、4が通信、5が電気技術、6が航空、7が電子兵器管制といったものがある。潜水艦の水兵にはまた細則があるがこれは回を改めて。



盛夏用半そで服(カスピ海、黒海、太平洋など艦隊限定の熱帯服)で、同色の鍔付き略帽と組み合わせる。将校は長ズボン、兵は別裁断(回を改める)でショーツと合わせるのが基本だが例外もあるようだ。肩章は80年代前半までシャツ用白が基本であったが88年より規定書から項目が削除され、それ以後は黒、ベージュ、白が任意で着用されている。



単なる夏用略衣で、通常のズボン、帽子類と組み合わせる。画像は支援兵科のもの。



イメージ写真。手前の鍔付き帽は70年ごろのものでベンチ穴がない。
右端のペン状の物体は放射能検量計。
画面下のプレートは解体潜水艦から外された非常用打撃信号表である。縁起でもないが、不測の事態にはこの表記にしたがって構造物を叩くことで乗員の生存を伝えることになる。
(2006/7/17)
  

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2016年07月29日

再録8・ソ連海軍艦上装備2






 前項で防寒服を紹介したついでに防寒帽も紹介しておこう。特に艦上装備というわけではないが…。
 画像は将官用・大佐用・士官用で、将官と大佐用は鍔付きである。帽章を除けば違いは鍔の刺繍だけ…と思えばさにあらず。帽子本体頂部の材質が違っており、「鍔だけ替えればごまかせるのでは…」などと考えがちな着用派マニアに冷水を浴びせるような構造である(ちなみに、よく「マニア泣かせ」などという表現を使うが、実際マニアを長く続けていると涙などいずれ枯れてしまう…)。
士官用の防寒帽は本体頂部が皮製、兵下士官用はウールまたは起毛綿製となる。また佐官級ではアストラハン毛皮で作った士官用防寒帽が好まれており、着用例も多い。
この写真では士官用防寒帽に銀糸の刺繍帽章がついているが、これは1980年台前半まで使用されていた軍医、主計科等の支援兵科用である。ちなみに戦後のソ連海軍では(大佐を除く)将校は全金属製の帽章を着用するのが普通だが購買部で刺繍帽章を自費購入する例もよくみられる。



潜水艦用簡易酸素発生装置。一度誤って室内で作動させてしまった。予備はまだあるが。
これを潜水艦乗員が腰部に着用している記録映像も多い。
(2006/7/16)  

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2016年07月29日

再録7ソ連海軍艦上装備1

 大体普通の制服ネタには飽き飽きしているのでリーファージャケットも詰襟服もすっ飛ばして特殊装備を(当時からそうだったのだ)。



現ロシア大統領プーチン氏が海軍を視察に訪れた際、原潜上で着用していた防寒服である。簡単な防水処置を施した羊毛皮製で、同材質のオーバーズボンと組み合わせて着用するもので、戦前戦中に使用されていた同材質で丈の長いオーバー(ご要望があれば後日紹介する)の改良型である。



80年代後半の製品でナイロン+人造毛皮でできており、下級士官・准尉の着用例が良く見られる。



これ用の防寒靴だがフェルトを多用しており、ソ連軍ではこれ以外にはほとんど見られないタイプである。
(2006/7/16)

  

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