2016年07月30日
再録187・夏服(2)
43年式キーチェリ夏服はかなり便利に使える衣装で夏のミリタリーショーには重宝している。木綿の生成り、麻混紡の上質生地、モスリン様の化繊、サマーウールといくつかのバリエーションがあるのだが、後2者はまるで涼しくない(笑)。画像は歩兵科の肩章つきで材質は淡いベージュの化繊だが皺になりにくい点は重宝している。
海軍の夏用キーチェリで画像のものは目の粗い木綿地でできた典型的な戦中タイプ(まあ55年規定までは大戦もの、と言ってしまってもよいような気もするが)。裁断自体は帝政の20世紀夏服と瓜二つ、戦前の肩章導入前には袖に小判型の階級章が付いたわけだが。洗濯を頻繁に行なう必要性からだろうか、ボタンは裏側に回した紐、あるいは金具を外すことで簡単に取り外せる。
実はこれが紹介したくて項目を立てた。1947年タイプの民警将官のキーチェリ型夏服。袖のVカットが特徴的で戦後型の国家章入りボタンも縁付きの特殊な専用ボタンが付いている。ただこの服の主は細かな細工が好きだったと見えて、胸ポケットにボタンを付け足し(ボタン穴は手かがり)6個目のボタン穴まであけてしまっている(同型ボタンなど持っていないのでボタンは欠けたままだが)。仕立てのイレギュラーというより持ち主の小技、という感じだが、そもそも民警の将官というのはそんなに暇なのだろうか。
ちなみに、手持ちの鉄道員キーチェリでは胸ポケットのフラップ裏にボタンループが付いていて隠しボタンが掛けられるようになっている。いわばポケットを活用する職業ならではの工夫だが、なるほど民警もポケットを活用する職ぎょ…(以下略)。(<スターリン時代だと命がけかも)
(2007/2/21)
Posted by Yakov at 22:36│Comments(0)